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    【採用担当者様向け】本当にスキルを見抜けるGoエンジニアのコーディングテスト作成5つのコツ
    Goエンジニア採用コーディングテスト採用戦略技術評価

    2025-06-17

    assessment

    注意: この記事は2025年6月時点の情報に基づいて執筆されています。Go言語の仕様変更やベストプラクティスの更新により、推奨される手法が変更される可能性があります。記事中のバージョン指定(Go 1.22、golangci-lint v1.53.0、govulncheck v1.0.0など)は執筆時点の例です。実装前には必ずGo公式ドキュメントで最新情報をご確認ください。

    【採用担当者様向け】本当にスキルを見抜けるGoエンジニアのコーディングテスト作成5つのコツ

    そのコーディングテスト、本当にGoエンジニアの力量を測れていますか?

    • 「アルゴリズム問題は完璧に解けるのに、実務ではパフォーマンスや保守性を考えたコードが書けない」
    • 「フレームワークの知識はあるが、Goの標準ライブラリを理解していない」

    このような採用後のミスマッチに悩まされている採用担当者は少なくありません。問題の原因は、多くのコーディングテストが「Go言語の特性」を評価する設計になっていないことにあります。

    この記事では、Goエンジニアの実践力を正しく評価するための、コーディングテスト作成における5つのポイントを解説します。

    Goエンジニア採用で押さえるべき5つのスキルセット

    まず、テスト作成にあたって評価軸を明確に定義することが重要です。Goエンジニアに求められる以下の5つのスキルセットを意識してテスト設計を行いましょう。

    1. 問題解決能力

    課題の本質を理解し、ロジカルに解決策を組み立てる力です。単純なアルゴリズムの暗記ではなく、与えられた要件を分析し、適切な設計判断ができるかを評価します。

    2. 「Goらしい」コードか

    適切なエラーハンドリング、インターフェースの効果的な利用、コードのシンプルさなど、Goの思想に沿った設計ができるかを確認します。「動けばよい」ではなく、Goの慣習やベストプラクティスを理解しているかが重要です。

    3. 並行処理の理解

    goroutinechannelを適切に使えるか、レースコンディションなど並行処理特有の問題を意識できているかを評価します。これはGoの最大の特徴であり、実務での差別化要因となります。

    4. テストコードの質

    テストを書く文化があるか、Goの慣習であるテーブルドリブンテストなどを理解しているかを確認します。品質に対する意識や、自身のコードを客観的に検証する能力を測ることができます。

    5. 標準ライブラリの知識

    車輪の再発明をせず、contextsyncnet/httpといった標準ライブラリを効果的に活用できるかを評価します。Goの豊富な標準ライブラリを知っているかは、実務での生産性に直結します。

    良いコーディングテストを作成する5つのコツ

    1. 実務に近い「ミニプロジェクト」形式にする

    NG例: 競技プログラミングのようなアルゴリズム問題 OK例: シンプルなREST APIエンドポイントの実装

    実際の業務を簡略化した課題にすることで、候補者の設計能力や「どのような構造でコードを組織化するか」「エラーケースをどう考慮するか」といった実務的な判断力を見ることができます。

    2. 「Goらしさ」を発揮できる余地を残す

    課題の中に、インターフェース設計、エラーハンドリング、簡単な並行処理などを自然に組み込めるポイントを作ります。候補者がどのようにGoの特性を活かして問題を解決するかを観察しましょう。

    効果的な課題設計例:

    指定されたURLリストから並行してデータを取得し、結果をまとめて返すワーカーを実装してください。

    • タイムアウト処理の実装
    • エラーが発生した場合の適切な処理
    • 結果の集約方法の設計

    この課題では、goroutineとchannelの使用、contextによるタイムアウト制御など、Goの特徴的な機能を自然に使う必要があり、候補者のGoへの理解度を測ることができます。

    3. テストコードの作成も「必須課題」に含める

    実装コードだけでなく、それに対するテストコードの提出も必須とします。これにより、品質に対する意識や、自身のコードを客観的に検証する能力を評価できます。

    評価ポイント:

    • テーブルドリブンテストの実装
    • エッジケースの考慮
    • モックやスタブの適切な使用(httptest)、外部API呼び出し部分のインターフェース抽象化、DBアクセスのモック実装など)
    • **go test -race**でレース検出テストを通すこと(Linux環境のDockerで実行)
    • go vet、**golangci-lint**などの静的解析チェックをクリアすること

    CI設定例: GitHub ActionsやGitLab CIで以下のような自動チェックをテンプレートに含めることで、実運用に近い環境での評価が可能になります。

    注意: 以下のバージョン番号は執筆時点の例です。実際の運用では最新安定版を使用してください。

    yaml
    1name: CI
    2on: [push, pull_request]
    3jobs:
    4  test:
    5    strategy:
    6      matrix:
    7        go-version: [1.22, 1.23, 1.24]
    8    runs-on: ubuntu-latest
    9    steps:
    10      # 執筆時点の例: actions/checkout@v3、actions/setup-go@v4。最新推奨版を確認してください
    11      - uses: actions/checkout@v3
    12      - name: Set up Go
    13        uses: actions/setup-go@v4
    14        with:
    15          go-version: ${{ matrix.go-version }}
    16      - name: Cache Go modules
    17        uses: actions/cache@v3
    18        with:
    19          path: |
    20            ~/.cache/go-build
    21            ~/go/pkg/mod
    22          key: ${{ runner.os }}-go-${{ matrix.go-version }}-${{ hashFiles('**/go.sum') }}
    23          restore-keys: |
    24            ${{ runner.os }}-go-${{ matrix.go-version }}-
    25      - name: Install tools
    26        run: |
    27          # 執筆時点の例: golangci-lint v1.53.0。最新は https://github.com/golangci/golangci-lint を参照
    28          go install github.com/golangci/golangci-lint/cmd/[email protected]
    29          # 執筆時点の例: goimports最新版
    30          go install golang.org/x/tools/cmd/goimports@latest
    31      - name: Lint (従来のgolintではなく、golangci-lintを使用)
    32        run: golangci-lint run ./...
    33      - name: Test with race detector
    34        run: go test -v -race ./...
    35      - name: Check formatting and imports
    36        run: |
    37          if [ "$(gofmt -l . | wc -l)" -gt 0 ]; then
    38            echo "Code is not formatted. Please run 'go fmt ./...'"
    39            exit 1
    40          fi
    41          if [ "$(goimports -l . | wc -l)" -gt 0 ]; then
    42            echo "Imports are not organized. Please run 'goimports -w .'"
    43            exit 1
    44          fi
    45      - name: Check go.mod/go.sum consistency
    46        run: |
    47          go mod tidy
    48          if [ -n "$(git diff go.mod go.sum)" ]; then
    49            echo "go.mod/go.sum is not tidy. Please run 'go mod tidy'"
    50            exit 1
    51          fi
    52      - name: Vulnerability check (オプション - ネットワーク接続必須、実行時間長、CI環境でのタイムアウト対応)
    53        run: |
    54          # 執筆時点の例: govulncheck v1.0.0。最新は https://pkg.go.dev/golang.org/x/vuln/cmd/govulncheck を参照
    55          go install golang.org/x/vuln/cmd/[email protected]
    56          # GitHub Actions Ubuntu環境でのタイムアウト設定例
    57          timeout 300 govulncheck ./... || echo "Vulnerability check timed out or failed"

    4. コードの綺麗さだけでなく「思考プロセス」を問う

    README.mdに設計意図やトレードオフを記述してもらいます。「なぜそのライブラリを選んだか」「なぜその設計にしたか」「どのような点で妥協したか」を言語化してもらうことで、候補者の技術的な判断力を評価できます。提出後のコードレビュー面接でディスカッションすることで、思考の深さや技術議論能力を確認できます。

    5. 時間制限は「緩やかに」、だが「現実的に」

    数時間で完結するオンラインテストよりも、数日間で取り組んでもらうテイクホーム形式(自宅で取り組む形式)の方が、候補者の普段の実力を測りやすくなります。合計4~6時間程度で完了できる課題を想定しつつも、候補者の状況に応じて柔軟に調整することが大切です。

    配慮すべき点:

    • 業務と並行して取り組む候補者への時間的配慮
    • 課題提出後の迅速なフィードバック体制の整備
    • 候補者の多様な背景(家庭事情、アクセシビリティなど)への理解
    • 選考結果にかかわらず最低限のフィードバックや謝礼の提供

    環境・提供方法の工夫:

    • Goバージョンの明示:Go 1.22以上(最新安定版)を前提とし、Go Modulesモードで開発してください(Go 1.23/1.24でも動作確認済み)
    • Dockerテンプレート:候補者環境の違いを減らすため、golang:1.22イメージでの動作検証用Dockerfileを提供(ローカルWindows環境の場合はDocker上で実行)
    • 課題テンプレートリポジトリ:README、go.mod、基本的なディレクトリ構成(cmd/pkg/internal/の使い分け例)、CI設定、.golangci.yml設定例を含む
    • 提出フロー:GitHubプライベートリポジトリでのクローン→PR提出→自動CI実行→フィードバックの流れを採用
    • 問い合わせ窓口:メールアドレスやSlackチャンネルなど、具体的な連絡手段をREADMEに明示
    • 評価基準の明示:問題解決力、Goらしさ、並行処理、テスト品質の各項目での評価ポイントを事前に公開
    • 権限・データ管理:候補者リポジトリへの一時的権限付与と選考終了後のクリーンアップポリシーを明確化

    課題ステップ例:

    • Day1:仕様確認・設計(READMEに要件定義を例示)
    • Day2:実装+基本テスト
    • Day3:仕上げ(エッジ対応、README追記、CI設定)

    セキュリティ・アクセシビリティ配慮:

    • 外部サービス連携が必要な場合は、APIキーなど機密情報は渡さずモック環境で検証
    • ドキュメントはスクリーンリーダー等で読みやすい構造に配慮
    • 要件定義部分は箇条書きを多用し、理解しやすい形式で提供
    • 依存ライブラリのバージョン固定や脆弱性チェックをCIで自動化(オプション)

    面接連携例: コーディングテスト後の技術面接では以下のような質問でさらに深掘りできます:

    • 「goroutine使用箇所の選択理由は?」
    • 「channel vs sync.WaitGroupの使い分けをどう判断しましたか?」
    • 「エラーハンドリングで工夫した点は?」
    • 「context.Contextの伝搬設計について教えてください」
    • 「エラーメッセージやログ出力方針はどう考えましたか?」
    • 「READMEの書き方やドキュメント化の意図は?」
    • 「本番運用時に追加で考慮すべき点は?」

    評価ルーブリック例:

    項目重み (%)評価基準
    問題解決力20要件理解の正確さ、設計の論理性、仕様変更への対応力
    Goらしさ20エラーハンドリング、インターフェース設計、標準ライブラリ活用
    並行処理15goroutine/channelの適切な使用、レース検出テスト結果
    テスト品質20テーブルドリブンテスト、エッジケース網羅、モック活用
    コード品質・可読性15コード構造、コメントの適切さ、READMEにおける設計意図の記述
    CI/自動化10CI設定例の動作確認、lint/testの自動化導入

    サンプルテンプレートリポジトリ: 実際の運用では、上記のポイントを反映したテンプレートリポジトリを用意することで、採用担当者・候補者双方の負担を軽減できます。テンプレートには以下を含めることを推奨します:

    • 要件説明とCI設定が含まれたREADME
    • 複数Goバージョン対応のGitHub Actions設定
    • Dockerfile例(FROM golang:1.22、CIでは1.23/1.24用も別途用意可)
    • 基本的なディレクトリ構成(cmd/pkg/internal/
    • .golangci.yml設定ファイル例
    • 評価ルーブリックのスプレッドシート/ドキュメントテンプレート

    Dockerfile例:

    dockerfile
    1# レース検出テスト用(Debian系推奨)
    2# 執筆時点: golang:1.22イメージ例。Goバージョンは最新安定版を推奨
    3FROM golang:1.22
    4WORKDIR /app
    5COPY go.mod go.sum ./
    6RUN go mod download
    7COPY . .
    8RUN go test -race ./...
    9RUN go build -o main ./cmd/
    10
    11# 本番用(Alpine - CGO不要プロジェクト前提)
    12# 執筆時点: golang:1.22-alpineイメージ例
    13FROM golang:1.22-alpine AS builder
    14WORKDIR /app
    15COPY go.mod go.sum ./
    16RUN go mod download
    17COPY . .
    18RUN go build -o main ./cmd/
    19
    20FROM alpine:latest
    21RUN apk --no-cache add ca-certificates
    22WORKDIR /root/
    23COPY --from=builder /app/main .
    24CMD ["./main"]

    注意事項:

    • Alpine環境(musl libc)ではgo test -raceが正常に動作しない場合があります
    • レース検出テストはDebian系イメージでの実行を推奨します
    • CIではDebian系ジョブでレース検出、Alpine系で本番ビルドを分離することを検討してください
    • ローカル実行環境ではWSL2/Linux環境を推奨(Windows/Mac環境での制約回避)
    • CGO不要プロジェクトであることをREADMEに明示してください

    フィードバック体制の工夫:

    • 選考結果にかかわらず、短いコードレビューコメントを提供
    • オンライン面談での振り返り時間を設定(30分程度のアジェンダ例を用意)
    • 技術的な改善点を具体的に指摘し、候補者の成長に貢献
    • コメントテンプレート例:「goroutineの使用は適切でしたが、contextによるタイムアウト制御をさらに活用できそうです」

    運用上の注意点:

    • 将来のGoバージョンリリース時はCIマトリックスの更新を忘れずに(Go 1.25以降への対応)
    • Dependabotなどの自動更新ツールとの連携を検討(GitHub Actions自動アップデート機能併用)
    • .golangci.yml設定例をテンプレートリポジトリに含める(enable/disable設定例も提供)
    • 候補者リポジトリの権限管理フロー(招待→権限設定→選考完了後削除)を明文化
    • govulncheckはネットワーク接続が必要で実行時間が長くなる可能性があることを候補者に事前通知
    • CIツールのバージョン固定(@latestではなく@v1.53.0など、執筆時点の例)でビルド安定性を確保
    • goimports -w .での自動整形方法をREADMEに明記
    • ローカル環境での検証方法(Dockerコマンド例、WSL2利用時の注意点)をREADMEに追記
    • CI環境でのネットワークポリシー制約によりgovulncheckが失敗する場合のスキップ方法を明示

    Dependabot設定例(.github/dependabot.yml):

    注意: 更新間隔や自動マージポリシーはプロジェクトに応じて調整してください。

    yaml
    1version: 2
    2updates:
    3  - package-ecosystem: "gomod"
    4    directory: "/"
    5    schedule:
    6      interval: "weekly"
    7  - package-ecosystem: "github-actions"
    8    directory: "/"
    9    schedule:
    10      interval: "weekly"

    ローカル実行手順例(READMEテンプレート用):

    bash
    1# ローカル環境での検証手順
    2go mod tidy
    3go test -race ./...  # Linux/WSL2環境推奨
    4golangci-lint run ./...
    5goimports -w .

    発展的な面接質問例(大規模ユースケース想定):

    • 「外部API呼び出し時のリトライ・バックオフ設計はどう考えますか?」
    • 「大規模並行処理でのメモリ使用量管理の工夫は?」
    • 「キャッシュ戦略やRate Limitingの実装方針は?」
    • 「モニタリング・ログ設計で重視する点は?」

    評価の罠:避けるべきアンチパターン

    • アルゴリズムへの過度な偏重: システム設計能力を持つ優秀なエンジニアを見逃すリスクがあります
    • 特定フレームワークの知識クイズ: 表面的な知識しか測れず、問題解決能力が評価できません
    • コードの「完璧さ」だけを求める: 設計の意図やトレードオフを議論する機会を失います
    codingtestmap

    まとめ:コーディングテストは「対話の始まり」

    良いコーディングテストは候補者を一方的に評価する「試験」ではなく、候補者の思考プロセスを理解し、技術的な対話を生むための「きっかけ」です。

    Goエンジニアの実践力を正しく評価するためにはGo言語の特性を活かした課題設計、実務に近い問題設定、そして候補者の思考プロセスを重視した評価が不可欠です。

    とはいえ、適切な課題の作成や評価にはGoエンジニア市場の動向や現場ニーズへの理解が不可欠です。私たちGoForceは、ここで述べたような多角的な視点でエンジニアのスキルを正しく評価しています。

    テンプレートリポジトリの提供や評価ルーブリックのスプレッドシート雛形なども含め、採用の精度を高め、本当に活躍できるエンジニアと出会いたいとお考えなら、お気軽にご相談ください。お問い合わせはこちらから。

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